writed by TAKAMIZAWA



      
       

伊藤公象   Kosho Ito

「 游土(ゆうつち) 」 と「生成(きな)りの襞」 

造語ですが、笠間に工房を作って40年、傘寿を迎えたいま、言葉遊びというのか、何かで遊ぶのではなく、遊びの思考とでも言える生気が高まっています。
柔らかな陶磁土を薄くスライスして即興的に一息で曲げる「多軟面体」、新聞紙に乗せた粘土の乾燥収縮の相互作用から得られる「褶曲」「紙の襞」、凍った粘土を掘り起こして高温で焼く「起土」、泥漿の凍結晶文様による「焼凍土」,透光性のある磁土などを用いた「木の肉・土の刃」、旧い土壌に栄養分の多い新たな土を導入する「客土」、結晶凍土に彩色を重ね合わせた「JEWEL」のシリーズなど、今日までに単体を集合させたインスタレーションの作品作りと発表の原点には「有機性を探る」コンセプトを内在させています。それらのシリーズはいずれも「襞」の概念を基底に据えたものですが、今後の晩年の制作活動では、集団で見せる「襞」を凝縮した単体=「物質の変容」を意図しています。物質から新たなネネルギーを引き出す「土による襞遊び」の雰囲気です。



東京都現代美術館 「アルミナのエロス」(2009)

東京都現代美術館での個展風景(2009)
「常陽銀行つくばビル」(陶壁)

入善町下山芸術の森発電所美術館個展 「地表の襞」会場風景(2011)
入善町下山芸術の森発電所美術館個展 「雨水による襞」(2011)
アオーレ長岡 壁面陶造形「生成りの襞」(市役所第1応接室)(2012
世田谷美術館改修工事による再常設展示 「凍土花」
金沢美術工芸大学ギャラリー個展 「JEWELの襞」会場風景
インスタレーション(2011)
金沢美術工芸大学ギャラリー個展 「JEWELの襞」作品部分(2011)

1932年
1997年
2002年
金沢市出身 1972年笠間市に伊藤知香と現伊藤アトリエを設立。
女子美術大学教授、同大学院教授(1999年定年及び満期退職)
金沢美術工芸大学大学院専任教授(2009年任期満了退職。現在、金沢美術工芸大学大学院 非常勤講師)
IAC国際陶芸アカデミー会員

●主な個展
1967年
1972年
1974年
1975年
1976年
1977年
1978年

1979年

1980年

1984年
1987年

1988年
1989年

1991年
1993年
1996年

2001年
2002年
2003年
2004年
2007年
2009年


2011年
秋山画廊(東京)—木彫・無題—
ギャラリーT (東京)—エロス的な凝縮による偽装—
山崎画廊(東京)—人為・多軟面体—
西村画廊(東京)—セラミック・多軟面体—
西村画廊(東京)—44の染体—
青画廊 (東京)—染体シリーズ—
茨城県立県民文化センター(水戸)—染体他—
西村画廊(東京)—間色・紫体—
ときわ画廊(東京)—黄化No2—
すまいギャラリー(いわき市)—多軟面体他—
西村画廊(東京)—土の作品・褶曲—
ギャラリー陶千房(京都)—土の作品褶曲—
ギャラリー白(大阪)—起土シリーズ—
鎌倉画廊(東京)—エロスの周延・石床面に集散する焼凍土—
銀座松屋アートギャラリー(東京)—陶雑器と陶装飾—
村松画廊—黄土(Ochre)による赤/褐色のヒロシマのための作品—
常陽芸文センター(水戸)—雰囲気・化粧—
創庫美術館“点”(新潟)—シリーズ化粧.少し酔った炉中—
村松画廊(東京)—木の肉・土の刃—
村松画廊(東京)—木の肉・土の刃2—
村松画廊(東京)—木の肉・土の刃3—
富山県立近代美術館「土の地平・伊藤公象展—人為と自然の間」あるいは波立つプール.
村松画廊(東京)—客土シリーズ・長石による襞—
TATE・St IVES・(英国国立テート・ギャラリー)「VIRUS 伊藤公象展—地の襞、海の襞」。
MAIRUSUTONE ART WORKS(富山)—JEWEL BOX・土の襞— 
村松画廊(東京)—海の襞、土の襞(珪藻土による)—
村松画廊(東京)—土の襞・青い凍結晶—
金沢美術工芸大学伊藤公象研究室(金沢)—白い襞—
伊藤公象WORKS1974−2009展(茨城県陶芸美術館、東京都現代美術館巡回)—土の襞・秩序とカオス—

金沢美術工芸大学アートギャラリー(金沢)―「JEWELの襞―」
入善町下山芸術の森発電所美術館(富山)―地表の襞―


●主なグループ展
1959年
1967年
1973年
1977年
1974年
1977年
1978年
1981年
1983年

1984年

1985年


1986年

1987年
1989年

1990年



1991年




1992年

1993年

1995年
1996年

1997年

1998年

1999年
2001年
2002年
2005年

2008年

2010年
第13回二紀展(彫刻部)〜1967年第21回展まで主に木彫を出品。’69年退会。
表現の不自由展(村松画廊・東京)—木彫—
第1回箱根彫刻の森大賞展(箱根彫刻の森美術館)—エロス的な凝縮による偽装—
第3回展まで出品
第1回北関東美術展(栃木県立美術館)
第2回展で大賞受賞 1980年第3回展まで出品
インド・トリエンナーレ国際美術展(ゴールドメダル受賞)—多軟面体シリーズ3点を出品—
現代の陶芸1「いま土と火で何が可能か」(山口県立美術館) —起土シリーズ(焼凍土によるインスタレーション)—
カナダ巡回:現代日本陶芸展(国際交流基金)—褶曲—
今日の日本の美術(ラート美術館・スイス・ジュネーブ)—円形の起土(焼凍土)—
第41回ベェネチア・ビエンナーレ国際美術展(日本代表出品) —「起土」シリーズ(焼凍土によるインスタレーション)—
現代美術の動向・その国際性と独自性(東京都美術館) —黄化Noとアルミナのエロス(白い固形は)—
台北国際陶芸展(台北市立美術館)—起土のレリーフ、アルミナのエロス(白い固形は)—
もうひとつの美術館〈解体をめぐって〉砂へ・そして砂から (いわき市立美術館) —ピンクの砂・雰囲気のインスタレーション他—
現代美術の40年「新館開館10周年記念展(東京都美術館)—アルミナのエロス(白い固形は)・インスタレーション—
‘86富山の美術(富山県立近代美術館)—砂・雰囲気・日本海四方海岩の砂—
「世田谷美術館開館記念・芸術と素朴」展—砂のワークショップ— 
土と炎—今日の造形・新たな展開と可能性(岐阜県美術館) —多軟面体、褶曲、起土のインスタレーション—
地・間・余白—今日の表現から(埼玉県立近代美術館)—焼凍土—
アートイベント砺波″89(アートスペース砺波)野上砥麿と二人展 —土によって襞状を見せた銀色紙—
土の造形(栃木県立美術館)—シリーズ化粧—
「現代の土」展(東京都美術館)—土の形の図譜より・冷気のいたずら
土の発見—現代陶芸と原始土器(滋賀県立陶芸の森陶芸館)—起土—
日本クレイワーク展(韓国国立現代美術館・ソウル)—土の作品—
セブン・アーチシツ 今日の日本美術展(サンタモニカ、ポートラン、タマヨ、ニューオーリンズ、名古屋市美術館を巡回)
—木の肉・土の刃〈交換と波状〉のインスタレーション。—
野生の復権—開館5周年記念(世田谷美術館)—凍花土(バラルコニ—に常設展示)—
第11回日本陶芸展・推薦招待(東京・大丸ミュージアム他巡回)
第16回推薦招待、第17回、第18回展招待出品。—起土、焼凍土、客土、珪藻土による襞の表現—
手で見る美術展(名古屋市美術館)—木の肉・土の刃—
1970年代の日本美術(ボローニャ市立近代美術館)—染体、褶曲—
現代の陶芸1950−1990(愛知県美術館)—木の肉・土の刃—
反復と増殖−現代美術のかたち(東京都美術館)—44の染体—
PLAZA SELECTION 1&1—池田龍雄・伊藤公象展(プラザ・ギャラリー)—起土、アルミナなどによるインスタレーション。—
アートベンチャー冒険美術—大地のささやきー(滋賀県立近代美術館)—木の肉・土の刃(生粘土による屋外のインスタレーション。—
韓国国際陶芸展(トタル美術館(ソウル)—凍土の化粧(繭形に)—
開館20周年記念展 国際美術館の20年(国立国際美術館)—褶曲レリーフ—
前衛陶芸の世界—伊藤公象を中心として(高松市美術館)—木の肉・土の刃—
伊藤公象+藤枝守 波動の結晶−土と音の出会い(文房堂ギャラリー)冷気と音の波動による焼凍土のコラボレーション。—
アート/生態系 美術表現の「自然」と「制作」(宇都宮美術館)—冷気と音の波動による焼凍土、木の肉・土の刃−或いは解体と派生—
「森に生きるかたち」(彫刻の森美術館開館30周年記念)—温泉プールと森の襞の道筋(多軟面体、褶曲による屋外のインスタレーション。)—
現代陶芸の精鋭−21世紀を開くやきものの手法とかたち(茨城県陶芸美術館)—客土シリーズ・長石による襞No1,2—
「12人の挑戦展」ベェネチア・ビエンナーレ出品作家(水戸芸術館)—JEWEL BOX・土の襞あるいはVIRUS—
第21回現代日本彫刻展(宇部市野外彫刻美術館)—地の襞/踊る焼凍土—
「生命・珪藻土礼賛〜1200万年の海底から」金沢21世紀美術館シアター21—珪藻土アートプロジェクト(金沢美大グループ)に参加—
珪藻土礼賛・植物プランクトンの生気から(文房堂ギャラリー・東京)—珪藻土インスタレーションと藤枝守の音とのコラボレーション。—
土—大地のちから」展(群馬県立館林美術館)—土の襞・踊る焼凍土—
「会津漆の芸術祭」(主催・福島県立博物館)—表層の艶やかな襞・土と紙襞と漆—を喜多方市の大和川酒造の「蔵」にインスタレーション。—
福島現代美術ビエンナーレ(福島県文化センター)—紅い花(白い紙襞にリキテックス)—福島大学芸術による地域創造研究所などが企画、主催。

●その他
その他、「唐桶山の暑い夏の芸術祭」「涸沼・土の光景」「笠間芸術の森内、陶の杜」などのアートプロデュース、
海の砂を焼いたピンクの砂を海辺の波打ち際に撒く「雰囲気・化粧」(新潟)、NHK「土曜美の朝」、「やきもの探訪」などに出演。
また、代表的な建築造形関連では、佐藤内科医院(栃木県)、茨城県水戸合同庁舎、茨城県窯業指導所、上ノ山温泉村尾旅館、
茨城県市町村会館、常陽銀行つくばビル、アオーレ長岡(陶造形)などがある。

●著書
「木の肉・土の刃」僕の陶造形ノート(学芸通信社)、「KOSHO ITOH」(博新堂美術出版)

他に「KOSHO and CHIKA 1972—1982」など多くの共著がある。

●パブリックコレクション
栃木県立美術館、熊本県立美術館、茨城県陶芸美術館(常設)、インド国立近代美術館、
東京都美術館(常設)、東京都現代美術館、国立国際美術館、国際交流基金、いわき市美術館(常設)、
富山県立近代美術館(一部常設展示)、山口県立美術館、岐阜県美術館、広島市現代美術館(常設)、
世田谷美術館(常設)、台北市立美術館、常陽芸文センター、高松市美術館、
愛知県美術館、滋賀県立陶芸の森美術館、茨城県窯業指導所
フランス国立セーブル陶磁器美術館
茨城県陶芸美術館(新常設)


茨城県立陶芸美術館での常設展示
   「多軟面体シリーズ」村松画廊での個展風景(2004)

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